第1回 音声を聞き取りやすくする|議事録・議事要旨作成を楽にするコツ

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議事録作成のための環境確保が難しい時代

会議音声が聞き取れないことは、議事録作成における大変な負担です。

議事録は、本来、会議終了と同時に完成していることが望ましいとされています。
とはいえ、会議中は作成担当者も何かと忙しく、また、その場でまとめるに余りある議論が展開されることもあり、現実は厳しいものです。

そこで、多くの場合、会議終了後に、録音を聞き直しながら、黙々と作成することになります。

であれば、静かで落ち着いた環境を確保し、一気に仕上げたいところです。
ゆえに、現場では、あえて作成時間帯をずらし、職場に人の少ない早朝・夜間に片づける等の工夫も行われています。

しかし、近年の働き方改革の影響もあり、早朝・夜間の勤務は難しくなりました。
日中は、ノイズキャンセリングイヤホンを使っても、自席を外して個室に籠っても、五月雨のやりとりを回避することは容易ではありません。
加えて、新型コロナウイルス対策等の措置的なテレワークでは、自宅やリモートオフィス内であっても、必ずしも作成に向いた環境とは限りません。

議事録作成のための環境確保が難しい、令和という時代。

だからこそ、環境以外の面でも、様々なコツを積み重ねながら、録音が聞き取れないというストレスを軽減し、議事録をもう少し楽に作りたいものです。

そこで、「議事録・議事要旨作成を楽にするコツ」と題して、議事録作成の負担軽減につながる様々な工夫を、全3回のシリーズでご紹介します。
今回は、「音声を聞き取りやすくするコツ」です。

1 聞き取れない音声を防ぐコツ:録音の音質を上げる

ICレコーダーなどは可能な限り高性能なものを使用する

マイクやICレコーダーなど、各種録音機器は、予算の許す範囲で高性能なものを使用しましょう。
携帯電話やスマートフォンでの録音よりも、録音に特化した機器の使用がおすすめです。

録音機器を会議室のレイアウトに合わせて設置する

大規模会議体であれば、録音機器を増設し、座席レイアウトに合わせて分散的に設置することも考えられます。
録音機器の増設が困難な場合は、会議体の進行役やまとめ役の声を確実に拾える場所に、優先的に設置することがポイントです。
録音機器を移動させることも難しい場合は、音声を拾いやすいように座席レイアウトの方を変更することも検討してみましょう。
このほか、録音環境を整えるコツや、録音フォーマットの設定などの詳細は、「上手な録音方法(ICレコーダー使用)」もご参照ください。


なお、議事録作成者と録音担当者が異なる場合は、毎回確実に録音してもらうことが大前提となります。
第3回でご紹介しますが、録音担当者にも議事録作成を経験してもらい、録音という任務、ひいては議事録という任務の重要性を共有できると良いかもしれません。

より確実な録音を行うには、専門業者による出張録音サービスを利用することも一方法です。録音時の機器設置から、次項で詳しくご紹介する「発言者の特定(話者メモの作成)」まで、一挙に依頼できます。

2 聞き取れない自分を変えるコツ:発言者や議論内容への理解を深める

議事録作成において、発言者を特定できないと、声を聞き分ける方向に意識が集中します。
また、議論内容が理解できないと、クリアな音声が耳に入っても意味が認識されません。
これらの結果として、聞き取りが難しい状態になることもあります。

発言者名を発言順にメモする

会議に参加し、発言者名を発言順にメモしておくと、特に会議欠席者や議事録作成の初心者などにとって、発言者の特定に役立ちます。
メモの際は、議論の雰囲気や意図を掴みながら、各発言の概要を、あるいは、発言の冒頭部分や発言中のキーワードだけでも残しておくと、よりスムーズに特定でき、作成しやすくなるでしょう。
このようなメモの作成のコツについては、「話者メモ作成の勧め―話者特定のために」もご参照ください。




事情によりメモが残せない場合などは、各発言者のアクセントや口癖など、話し方の特徴を把握して、個々を特定する手掛かりを掴んでいきます。
声質が似ている発言者同士については、例示表現や倒置表現の多寡など、文法的な観点からも比較しながら、注意深く聞き分けることが大事です。

発言者を自分で特定できるようになると、作成を続けるうちに、各発言者の得意・不得意分野や、発言の傾向等もよく見えるようになるでしょう。
発言者を理解することは、議論を理解することにもつながります。

あらかじめ会議資料に目を通す

議論の理解を深めるためには、予め会議資料に目を通しておくようにしましょう。
第2回でご紹介しますが、議事録作成の際にも、会議資料と対照しながら進めると、時間短縮になることがあります。

専門用語は用語集にまとめておく

会議資料や発言中に専門用語や社内用語が頻出する会議は、それだけで聞き取れないことがあります。
不明な用語を丁寧に確認し、自分で用語集等の形にまとめておくと、議論の理解がより促進され、議事録作成にも活きるでしょう。

過去の議事録を確認しておく

また、長期的あるいは断続的な議案については、過去の議事録を全て一読し、議論の変遷をよく把握しておくことが肝要です。
四半期毎や会計年度毎に登場する定期的な議案であれば、少なくとも数年分は遡って確認しておきたいものです。
一見して単発的・短期的な議案であっても、過去の議事録の中から類似した議案や参考になる議案を探し出せれば、議事録作成に活きることはもちろん、議案内容の検討にも資するでしょう。

慣れてくれば、苦は減る

議事録作成に向いた環境が確保できなくとも、録音の音質を上げ、発言者や議論内容の理解を深めることで、音声を耳に入りやすくし、少しでも楽に作成を進めていきましょう。

そして、粘り強く作成を続けること自体もまた、音声を聞き取る力を上げるためのコツです。
地道な作成経験の積み重ねと、環境面・音質面・理解面の向上とが相乗すれば、議事録作成の達人の境地に至れるかもしれません。

第2回は、「作成時間を短縮する」と題して、議事録作成の時間短縮・効率化のコツに迫ります。

公開日:2020.4.7
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