第2回 作成時間を短縮する|議事録・議事要旨作成を楽にするコツ

Share

議事録作成のための時間確保が難しい現代

ITが普及し、AIを使って文字起こしや議事録の下書きを作成することも身近になりました。一方で、内容の確認や修正、正式な記録としての取りまとめには、今も人の判断が必要になる場面があります。

確かに、第1回でご紹介した、議事録作成に向いた環境を確保することや、会議録音音質を上げることや、発言者や議論への理解を深めることなどは、作成の効率化・時間短縮にもつながるものです。

しかし、それらを整えてもなお、議事録作成では、想定以上に時間がかからざるを得なくなることがあります。

会議の内容や議案の重要度、議論の密度などもまた、議事録作成の時間を大きく左右し得る要素です。

特に今日では、ガバナンスやコンプライアンスの強化、最新法令やソフトローへの準拠、監査や監督への対応、不祥事や訴訟の対策等々。
社会の高度化・複雑化に合わせて、議案もまた専門化・難化が進み、同時に、議論にも一層の迅速性が求められています。
すると、議事録を作成すべき会議が増え、その会議体を運営するための業務が増え、その会議体で決定した事項を実施するための業務も増えることに・・・。

議事録作成のための時間確保が難しい時代。

だからこそ、効率化を図り、様々なコツを積み重ねながら、あまり時間がかかることのないよう、議事録をもう少し楽に作りたいものです。

1 時間短縮のための下準備:文字起こしを作っておく

AIや専用ソフトを活用して、まず文字起こしを用意する

第1回でお勧めした発言者や内容のメモに加えて、会議音声を文字起こししておくと、議事録作成の時間短縮になるでしょう。
とはいえ、その文字起こしの作成が、一見すると遠回りに感じられるかもしれません。

現在は、AI音声認識を使って文字起こしの下書きを作成し、それを人が確認・修正する方法もあります。会議の振り返りや社内メモなど、一定の誤りが許容できる用途では、AIを活用することで作業時間を短縮できる場合があります。
一方、重要な意思決定、契約、人事・法務などに関わる会議では、AIによる文字起こしや要約だけをそのまま正式な記録とせず、必要な箇所を元の音声と照合するなど、人による確認を行うことが大切です。

人が音声を聞きながら文字起こしや確認を行う場合には、「ExpressScribe」などの文字起こし用ソフトも引き続き利用できます。ショートカットキーによる再生・巻き戻しや、フットスイッチなどを活用すると、聞き直しや修正作業を効率化できます。また、専門用語などを単語登録しておくことも、入力作業の負担軽減につながります。

なお、文字起こし原稿を残しておくことは、議事録が原発言から乖離することの抑制として働き得ます。
後々、原発言と議事録を比較する必要が生じた場合にも、文字起こしがあれば、確認しやすくなります。元の音声や文字起こしを保存する場合には、会議内容の機密性や個人情報にも配慮し、社内の情報管理ルールに従って保存期間やアクセス権限を定めておきましょう。
このように、文字起こし原稿を用意しておくことは、「議事録リスク」の管理という観点からも重要です。

社内作成か外注か、所要時間とコストから判断する

文字起こしの方法は、用途や求める精度に応じて、AIを活用する方法、人が社内で作成・確認する方法、専門業者へ外注する方法などから選ぶことができます。
特に、正確性や機密性が重視される会議で社内の確認工数を確保しにくい場合には、専門業者による文字起こしサービスの利用も選択肢になります。

音声データを渡し、納期や起こすべき部分などを指定して発注し、あとはテキストで納品されるのを待つという、便利なサービスです。機密性が高く取扱いに注意を要する音声にも対応できるよう、セキュリティ対策をより高めたサービスを提供している専門業者もあります。
人が音声を聞きながら文字起こしを行う場合、必要な時間は、音質や発言者数、内容の専門性、求められる原稿の精度などによって大きく変わります。
社内での作業負担が大きい場合には、専門業者へ外注することで、担当者が文字起こしに費やす時間を別の業務に充てることができます。

働き方改革などで人材不足の中、社内リソースをどう配分するかという視点と併せて、外注導入のコストメリットについても勘案してみることが大切です。


2 作成時間短縮のコツ:雛形・定型化・確認・休憩

同じ雛形を使う

書式面で迷わなくて済むよう、議事録の雛形を決めておき、毎回その雛形を複製して使いましょう。
雛形は、作成を進めながら必要に応じて洗練させると良いです。

複数の会議体の議事録を担っている場合は、可能な範囲で雛形を共通化させておくと、作成途中で別の会議体の議事録作成に移る場合でも、書式の混同や書き方の混乱が防げます。

文章の形できれいにまとめる必要性が薄いケース、例えば、ブレインストーミングやランチョンなどの比較的カジュアルな打ち合わせや、法令上の作成義務がなく内部共有に留める用途の議事録などであれば、真に必要な事項のみを箇条書き、ツリー式などでまとめることも一策です。



定型化しておく

表現面の悩ましさを減らせるよう、頻出する言い回しや発言の可能な部分は定型化し、貼り付けで完結できる、あるいは、加工が最小限で済むようにするとよいでしょう。
議案の説明部分と議論(質疑)部分が明確に区別されている会議体であれば、資料説明部分については、議事録本体に資料を添付した上で、議事録本文中で「別添資料のとおり」などと定型表現を用いると、作成の時間短縮になります。

確認が必要な部分は明確に

内容面で判断し難い場合は、議事録中にコメントを残しておき、後から必ず上司や担当の部門などに確認しましょう。
ワードの「コメント」機能などを使い、本文外に記録しておくのが基本です。
確認の抜け漏れ防止を徹底するには、あえて本文内にかっこ書きで不明点を書き入れ、蛍光マーカーをつけておくこともお勧めです。

確認を受ける際には、個別に不明点を尋ねる形もありますが、議事録の叩き台に直接修正を書き入れてもらう形が、より時間短縮になります。

適度な休憩で効率を上げる

それでも作成中に煮詰まったら、無理せず休憩をとり、時間が許すならば、続きを翌日以降に回してみましょう。
時間を空けることによって、細かなミスや、より相応しい表現などに気付き、複雑な内容を整理できることもあります。

続けていれば、苦も活かせる

議事録作成の効率化を通じて、会議体運営や、組織全体の効率化の鍵が見えてくることがあります。
議事録作成者個々人の努力により時間短縮が実現できたならば、その後は会議体や組織の効率化にも貢献を広げていきたいところです。

きっと議事録で養われたバランス感覚や広い視野を活かせる機会になることでしょう。
その取り組みが巡り巡って、議事録作成のより抜本的な効率化につながるかもしれません。

第3回は、「議事録作成で「働き方改革」と題して、議事録作成を支える組織・仕組み作りのコツに迫ります。

公開日:2020.4.23 更新日:2026.10.6

Share

関連コラム