文字起こし・テープ起こし用語集

フィラーふぃらー

フィラーとは、「えーっと」「あのー」「んー」など、会話の中で自然に挿入される短い言葉や音声現象を呼びます。話し手が次の言葉を探したり、考えを整理する際に無意識に発するもので、具体的な意味を持たず、文法的にも必須ではありません。

フィラーは、発話の途中や文節の切れ目など、話の流れに区切りが必要な場面で現れやすく、発話のリズムを保つ働きを担っています。

読みやすい文章を作るうえでは削除の対象になることが多い一方で、発話の構造や思考のプロセス、対人的な配慮の現れとして、近年では研究対象としても注目されています。

フィラーの主な機能・役割
機能・役割 説明
思考整理・認知行動の反映 話者が次に話す内容を準備したり、思考を巡らせていることを示す。
発話権の保持 自分の発言がまだ続くことを示し、会話の主導権を維持する。
対人関係への配慮 相手に急かされないよう配慮したり、丁寧さ・親しみやすさを演出する。
談話構造のマーカー 発話の区切り・転換点を示し、会話の構造をわかりやすくする。
コミュニケーションの円滑化 会話の途切れを防ぎ、自然なリズムを作る効果がある。

研究対象としてのフィラー

近年、フィラーは単なる「意味のない音」や「削除すべきノイズ」ではなく、思考・感情・会話構造・社会的配慮と深く関わる現象として注目されています。以下のような観点から多くの研究が行われています。

  • 思考過程の可視化
    フィラーの出現位置や種類から、話者がどのように考えを組み立て、迷い、表現を選んでいるのかというプロセスを読み取ることができます。
  • 対話の構造分析
    談話研究において、フィラーが話題転換や会話をつなぐ際にどう使われるかが分析対象となります。
  • コミュニケーション研究における意義
    フィラーは、発話権の保持、談話の構造化、対人距離の調整など、会話を円滑に進めるための実践的ツールとして機能していることが明らかになってきています。

東京反訳におけるフィラーの定義

一般的には、「ケバ」は会話の中の余分な言葉や音を広く指し、その中に「フィラー」(例:「あのー」「えーと」)のほか、言い間違いや言いよどみ、語尾の繰り返しなども含まれます。

一方、東京反訳では「ケバ」と「フィラー」を同じものとみなし、主に意味のない短い言葉だけを「ケバ」として扱っています。そのため、フィラー以外の余分な発話は通常「ケバ」として扱われません。

東京反訳はフィラー付きの文字起こしに対応いたします

フィラーは、話し手の思考や発話のリズム、対人配慮といった要素を含んでおり、会話分析や認知研究において重要な観察対象となります。また、近年では音声対話システムや自然言語処理(NLP)モデルの学習に必要な教師データとしても、フィラーを含む正確な文字起こしが求められています。

東京反訳では、こうした研究・開発ニーズに対応し、フィラーや話し方の特徴を丁寧に反映した「会話分析用文字起こし」や「AI学習用文字起こし」のサービスを提供しています。

通常の「ケバ取り」仕様では省かれるフィラーや間、言いよどみなども、ご要望に応じて忠実に記録いたします。研究や教材作成、音声対話AIの学習データ収集など、専門的な目的にぜひご活用ください。