速記とは、演説、会議、インタビューなどの場に同席し、速記文字といわれる記号・符号を使うことによって発言を素早く記録し、それを基に文字起こし原稿を作成することです。
人間の話す言葉を発言のまま書き留めるために、「速記文字」や「速記記号」と呼ばれる独自の符号を用い、速記者によってその場で素早く記録していくのが速記です。速記はそのままだと一般の人には読めないため、後日、われわれが普段使用している言語に戻して原稿にされます。
速記の歴史は古く、起源は古代ローマ時代までさかのぼるといわれています。但し当時の速記では、発言そのままに記録するにはスピードが追い付かず、要約の域を出ないものでした。
時代を経て17世紀に、近代速記の父と呼ばれるジョン・ウィリスによる速記理論が提唱されました。その後欧米諸国で1830年代に速記記号が開発され、文字を書き留めるスピードが格段に上がりました。
日本では明治期に速記技術が導入され、主に新聞社や議会などで使われていました。初の日本語速記法を提唱した田鎖綱紀氏の田鎖式速記術以降、中根式や早稲田式、衆議院式などさまざまな速記方式が発達し、発言記録の共有に役立ってきました。
現在上記のような速記の歴史から、国の仕事では今でも速記資格を持つ作業者を入札要件としている場合があります。
現在はICレコーダーなどデジタル機器の普及や、WEB会議などのオンライン化が浸透したため、速記者を置かず、録音や録画したデータから書き起こすフローが一般的になりました。その場で記録を取る速記は速記記号から文字への変換に時間を要しますので、録音データや録画データから文字起こしする作業と所要時間に差異はありません。