文字起こし・テープ起こし用語集

倒置表現とうちひょうげん

倒置とは、文章作成においてある言葉の意味を強調する効果を狙って、言葉の順番を変更することです。文字起こし・テープ起こしの際には、読みやすさのために敢えて倒置表現を通常の語順に戻して原稿を作成する場合もあります。

倒置表現の簡単な例を挙げますと、例えば動詞の倒置表現では「食べてみたい、このお菓子が」、形容詞の倒置表現では「きれいですね、この花は」など動詞や形容詞の順序を変えるものがあります。

考えてみると日常会話には倒置表現があふれています。「何をやってるんだ、君は!」とか「楽しかったな、今日は」など、人はまず自分の意見や感情を先に表明して心の中を整理しようとする無意識の働きがあるようです。取り立てて感情的な場面でなくても「えーと何曜日だっけ、今日は?」などと、やはり自分の最も言いたいことが最初に出てきます。
本来「倒置表現」というのは、通常の語順を崩して強調したいことを先に持ってくる文学的な表現法であると学校で習うので、日常生活には関係ないものというイメージもあります。ただこうして日頃の話し言葉を振り返るとかなりの割合で倒置表現が使われていることが分かります。

文字起こし・テープ起こしの業者によっては、依頼された起こし方仕様が「整文」といって、話し言葉をなるべく読みやすい書き言葉に変換する起こし方の場合、倒置表現された発言を通常の語順に修正して原稿を作成することがあります。思いのほか多用される倒置表現を発言のまま文字起こしすると意味が伝わりづらくなり、また読みにくくもなるからです。