被害者となったときに知っておきたい、パワハラの対処方法と解決策

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被害者となったときに知っておきたい、パワハラの対処方法と解決策とは?

パワハラを受け続けるのはとても苦しく、長引くほど心身の状態を悪化させます。また、対応を取らないことが、相手を助長させ、パワハラがひどくなるおそれもあります。自分にとって無理にならなければ、以下を参考に、何らかのアクションを起こすことも検討してみましょう。

1 一人で抱え込まずに、周囲へ相談する

まずは、パワハラの事実を周囲へ伝えてください。その際には、家族や私的な友人への相談も一つですが、根本的解決のためには、会社関係者や外部機関への相談も考えてみましょう。

⑴ 会社の関係者や関係機関に相談する

1つ目は、同じ部署の同僚・友人・上司などです。既に同じようなパワハラを受けている同僚や、直接パワハラを受けていなくても周囲の状況に疑問や不安を感じている人がいるかもしれません。パワハラが起きているという状況を理解してもらい、さらに応援してくれたり一緒に対応してくれたりする仲間が得られれば心強いものです。

2つ目は、パワハラ専門相談窓口、人事あるいは法務・コンプライアンスの部署など、会社の担当窓口です。これらの部署は、パワハラに関するこれまでの対応経験の蓄積や最新情報のアップデートに基づいた対応が期待できます。

3つ目は、労働組合や、内部通報サービス、顧問弁護士など、会社に関係する専門機関です。会社のことをよく知っていて、業務内容や内情を理解してもらいやすいというメリットがあり、また、会社とはある程度の距離を保ちながら客観的かつ専門的な対応が望めます。
ただし、会社全体としてパワハラに加担していたり、そうでなくとも会社の態勢が整っていなかったりすると、会社関係者への相談は実際上難しくなりますので、外部機関への相談も検討しましょう。

⑵労働問題改善を目的とした外部機関に相談する

1つ目は、厚労省の機関である労働基準監督署です。賃金・労働時間・解雇などの労働法令違反に関する問題があれば、労働基準監督官による調査・摘発や勧告などが行われます。また、パワハラなどでうつ病などの精神障害になった場合に、労災の認定を行うのも、この機関です。労災保険(労働者災害補償保険)の受給には、一定の要件を満たして所定の書類を提出する手続が必要になりますが、労災保険相談ダイヤルにて詳細を確認することができます。

2つ目は、同じく厚労省の機関である都道府県労働局です。直接的には法令に違反しないような労働条件変更・解雇・パワハラも含め、職場のさまざまな問題に対して、労働局長による助言や指導、紛争調停委員会によるあっせんなどが行われます。総合労働相談コーナーが設置され、専門の相談員が受け付けています。

3つ目は、法務省・法務局の人権相談窓口です。労働問題に限らず、差別、いじめ、嫌がらせ等、人権に関する問題を広く受け付けています。労働契約関係が不明確なケースや、もはや人権侵害といえるレベルのパワハラなどは、人権的・人道的なアプローチを検討することも一つです。

⑶ 法的解決を目的とした外部機関を利用する

1つ目は、「かいけつサポート」です。パワハラなどの労働問題をはじめとした民事紛争について、話し合いによる解決を目指す機関です。問題を大きくさせずに、同じ会社で働き続けながら解決したい人に良いかもしれません。

2つ目は、法テラスです。経済的に厳しい状況の方が、無料で弁護士に相談でき、違法性のあるパワハラ・労働問題についてアドバイスがもらえれば、先の見通しも立ってくるでしょう。また、引き続き訴訟などの具体的な法的手続の依頼もでき、費用は立替払いしてもらい分割で返済することができます。

3つ目は、裁判所です。少額訴訟労働審判は、比較的費用が低額かつ手続も簡便ですので、自力で進めることも不可能ではありません。他方、通常訴訟の場合は、時間や労力の負担や専門性を考えると、弁護士に依頼したほうが確実といえそうです。

2 相談の効果を高めるために、やっておきたいこと

一口に相談といっても、既に紹介したとおり、適切な相談相手を選ぶ必要があります。その上で、ただ伝えるのではなく、相談の効果を高める工夫をしなくてはなりません。そのためには、自分と同様の被害について調べたり、自らの被害状況を整理したりといったこともポイントになります。

⑴ 同様の事例・判例を探して、立場や状況を確認する

自分と似たようなパワハラを受けて苦しんでいる人が、他にも世の中にいるかもしれません。ネットで手軽に検索できる時代になりましたので、加害者・パワハラの内容・損害賠償・慰謝料額などの観点から、いろいろと当たってみましょう。円満に解決された事例や、実際の判例などが見つかれば、それらを参考にしながら、相談や交渉を進めることも可能になります。
労働事件は、裁判所でも日常的に扱われていますので、それらの傍聴に行ってみるのもおすすめです。当事者や証人が登場するときもあり、ネットの検索以上に現実的な話に触れることができます。苦しんでいる・戦っているのは自分だけではない、という勇気をもらえるかもしれません。

⑵ 伝える方法や内容を吟味して、秘密流出などの二次被害や反論を防ぐ

相談の場面では、苦しみがフラッシュバックして感情が高ぶり、理路整然と説明できないこともあります。もし会社から面談の日時・場所の提案があっても、無理して会うよりは、電話やメールなど、自分にとって負担が少なく落ち着ける方法で伝えましょう。その際、相談限りで周囲には秘密にしてほしいことや、特に面接の場合は同席してほしくない相手などがあれば、できる限り相談より前に、その旨明確に告げておく必要があります。 また、会社の担当者や加害者は、必ずしも相談に対してありのままを受け止めてくれずに、「指導のつもりだった」などとパワハラを否定する主張を行うことが考えられます。ですので、指導される側にとってどのような点で指導の範囲を超えているか、といった辺りまで説明できるように備えておくと良いでしょう。

⑶ リアルタイムの記録を活かして、事実関係を整理する資料を作る

パワハラは、いろいろな類型が組み合わされたり、長期間にわたって行われたりします。相談や訴訟では、このような複雑な状況を、自分以外の者へ客観的事実を正確に証明することが必要になります。また、時間の経過と共に状況も変化するので、相談時までではなく、最終的な解決時まで記録を続けることが肝要です。
具体的な記録や資料として、業務メモ、時系列表、ボイスレコーダーでの録音などが挙げられます。特に録音は、自分の主観を介さずやりとりの様子がそのまま記録されるので、証拠として有用です。文書の形で残すと、相談や裁判の際にも提出や利用をしやすくなります。書き起こしの作業には手間がかかりますので、時間がなければ専門の会社による「文字起こし」などのサービスを利用するのも手です。
公開日:2019.3.26

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