テープ起こし・文字起こし用語集

テープ起こしてーぷおこし

テープ起こしとは、録音または録画されたスピーチや会話などの音声を文字に書き起こす作業のことを指します。この名称は記録メディアにカセットテープを使用していた頃の名残です。テープ起こしのほかに、文字起こし、書き起こし、反訳、ボイスリライトなど、さまざまな言い方で呼ばれています。

カセットテープの時代に文字起こしが盛んに行われるようになったため、今でも音声の文字起こしは「テープ起こし」と呼ばれることが多いですが、人や業者によっても言い方は異なり、さまざまな言い方が混在している状態です。

カセットテープなどを使った手軽な録音機器が流通する以前の文字起こしでは、速記文字を使った記録方法が一般的でした。17世紀に近代速記の父と呼ばれるジョン・ウィリスによる速記理論が提唱され、さまざまな速記法が発達したことにより、発言と同時に記録できるようになったからです。19世紀になるとタイプライターが普及し、文字起こしの効率がさらに上がりました。20世紀には最初はカセットテープ、その後はMDやICレコーダーなど大容量メディアに記録を残すことができるようになり、後から書き直すことによってデータの文字化が容易になりました。

テープ起こしに必要な技能は、言葉や漢字の豊富な知識、速くて正確なタイピング、そして地道な作業を続けられる「根気」です。アナウンサーがニュース原稿を滑舌よく読むのとは違い、喋りのプロではない普通の人の発言を音声だけを頼りに文字化していくのは非常に手間のかかることです。聞き取りづらい言葉は何十回でも再生して聞き直しますし、大勢の会話では発言者の特定にも熟慮を要します。なじみのない単語は広範な知識を総動員して類推し辞書やネット検索で意味を確認していきます。そのため5分間程度の文字起こしに1時間前後かかる場合もありますし、録音状態の悪さ、専門用語の多用などの条件が重なる場合には、それ以上の時間が必要なこともあるのです。

音声の再生装置とパソコンがあればできる作業ですが、正式な資料として仕上げるためにはやはりノウハウと経験が不可欠です。テープ起こし・文字起こし専門業者が存在する理由もそこにあります。