常用漢字とは「一般の社会生活において使用する漢字の目安」(『広辞苑』より)となる漢字を指します。現在使用されている常用漢字は平成22年内閣告示の「常用漢字表」で定められた2,136字です。
法令などの国の文書や新聞、雑誌、放送などで使用する共通の漢字の目安は「常用漢字表」に定められています。大正12年(1923年)に臨時国語調査会が日常使用の漢字として常用漢字を指定したのが始まりで、その後何度か改定が行われ、現在使用しているのは平成22年改定のものとなります。
常用漢字表は、専門分野や個々人の書く文章においてはあまり関係ありませんが、社会生活と密接に関わる法律や新聞、放送などの言葉の表記においては参照することが多いといえます。また学校における漢字教育の目安、つまり学校で習う漢字が常用漢字です。
ただこの常用漢字表。中身をよく見てみると意外な漢字が載っていません。例えば「磯」。「磯釣り」「荒磯」など海にまつわるよく見る漢字ですが常用漢字ではありません。また伊藤さんの「伊」もそうです。人名のほか「伊豆」などの地名でも一般的で、イタリアの国名の略語表記としても頻出しますが、この「伊」も常用外です。
さらに新聞などでは「障がい者」という表記をよく見かけますが、これは「碍(がい)」が常用漢字ではないためです。ちなみに常用漢字表は人名地名、会社名など固有名詞には適用されないので、漢字表にない漢字でも名前には使用できます。
文字起こし・テープ起こしにおいては、一つの原稿内で表記がばらばらになったり、文字起こし作業者によって表記の異なる原稿になったりしないよう「記者ハンドブック」を活用して表記の統一を図りますが、その冒頭に記載されているのが「常用漢字」です。