未来を感じさせるプロジェクト大集合

未来を感じさせるプロジェクト大集合

「コンピュータが空気を読むようになる? ゲームキャラクター“マリオ”が知能を持つ? これからはAIが運命の人を見つけてくれるかも? 現在進行中の人工知能を利用したプロジェクトをピックアップ!」

≫「空気が読めるコンピュータをつくろう」プロジェクト
omcs

コンピュータにコモンセンス知識※を与えようというプロジェクト。コモンセンス知識と言われると難しいが「一般常識」と言い換えることもでき、私たちにとっては当たり前の一般常識を備えたコンピュータをつくろう、というもの。適切なときに適切な知識と言葉を使える、人間のように空気が読めるコンピュータを実現しよう、というプロジェクトである。

※コモンセンス知識とは、私たち人間が共有していながらコンピュータが持っていない常識的な背景知識や感覚のこと。例えば「食べないとおなかが減る」「生き物は毎年一つずつ歳をとる」といった、人がわざわざ表現しない類いの知識のことで、「一般常識」と言い換えることもできるよう。(【参考】「あたりまえ」を集めたビッグデータが、人工知能をさらに賢くする

インプットプロジェクトとしては、「日本人検定」、「ナージャとなぞなぞ」が進行中。これらはゲームを通してコモンセンス(常識、良識)を収集するプロジェクトで、ゲーム中に入力される回答は全て「空気が読めるコンピュータ」(人工知能)の知識となる。なお、問題に正解は存在せず、思い付くイメージで答えていく。興味のある読者は参加してみてはいかがだろう。

利用するユーザーが増えれば増えるほど「空気が読めるコンピュータ」はどんどん洗練されていくといえる。ただ、時代(世代)によって常識は異なるのかも……などと考えると、将来的にどんな人工知能に育つのか興味深いところだ。

≫マリオ、知能を持つ。ゲーム内世界を学習し、ユーザーとの対話も可能

ゲームキャラクター「マリオ」が知能を持つ? 未来のゲームはゲームキャラクターと会話をし、協力してゲームを攻略するといったスタイルになるかもしれない。

独テュービンゲン大学の学生による研究チームで、ゲームキャラクター「マリオ」を使った人工知能プロジェクトの研究が進められているよう。歩いたりジャンプしたりというマリオが取れる行動は通常のゲームと同じだが、操作を行うのはユーザーではなく学習する人工知能だ。人工知能を持ったマリオは自律的な行動をする。そして、人間からの助言に基づき、ゲーム内のルールを学習し、アイテムを獲得しながら、ルートを探り、ゴールを目指す。

その際、会話インターフェイスも組み込まれているので、ユーザーはマリオと会話したり感情を聞いたりできる。「ハロー、マリオ」と英語で話しかけるとマリオが「Hello!」と返事をしてくれたり、「気分はどうですか」と尋ねれば「I feel very good!」と自分がどう感じているかを話してくれたりするよう。さらには「クリボーを踏めばクリボーが死ぬ」といったルールをマリオに教えると、マリオはそのことを学習し理解するようになるようだ。(【参考】クリボーの死を理解する「人工知能マリオ」プロジェクト

ゲームの攻略を楽しむというか、キャラクターの育成を楽しむというか。思うように動いてくれないともどかしそうだが、今までのゲームのほかに未来にはこんなゲームがあってもまた面白そうだ。

「人工知能コン」

chotchy.

これからはAIが運命の人を見つけてくれるかも? 「人工知能コン」とは、スマートフォンで目の前の人のプロフィールが確認できたり、自分がカップルになりやすい人を人工知能が教えてくれたりする新感覚のイベントだ。

これは端的に言うと、男女のカップリングパーティーに複雑ネットワーク理論に基づいたマッチングシステムを持ち込むことで、カップル成立の確率向上を目指すというもの(【参考】あなたはAIが薦める“運命の人”を受け入れられる? 東大生が考えた『人工知能コン』から恋愛を科学する)。人工知能があなたにピッタリの「運命の人」を推奨してくれるとしたら……、こんな新感覚合コンにあなたは参加する?

次回のイベント開催は2015年5月6日、相模原で(予定)。なお、過去3回の開催でカップルマッチング率は27%を達成したよう。ただ、カップルになったとしても続くかどうかは不明、それはこれから明らかになっていくことだろう。

とはいえ、将来的にはデータが増えるにつれて、カップル持続率まで考慮したマッチングになっていきそうな予感もある。また、人工知能がアドバイスしてくれるとか、未来には人工知能が仲人的な役割を果たすようになったり、さらに生身で参加する合コンではなく、自分のアバターが参加する合コンとかに発展していったりするのかも。

そのほかにも、多くのプロジェクト(テクノロジー)が現在実現・開発中である。例えば、年明けにNHKで人工知能の未来を主題にした「NEXT WORLD」という番組が放送されたのだが、内容はどれも興味深く、見ていていろいろな感情が生じる未来を感じさせられるものだった。放送はもう終了したのだが、サイトでは「NEXT WORLD MAP」を見ることができる。

NEXT WORLD MAP

「NEXT WORLD MAP」は、2045年までに到来する世界 NEXT WORLD で何が起こるのかを指し示し、これから起こる21世紀の圧倒的な変化を楽しみ、準備するための「地図」だ。興味のある読者は見ていただければと思うが、この地図では次の3つのエリアにテクノロジーが配置されている。

nextworld-map

■現在、既に実現しているテクノロジー
■現在開発中、近いうちに実現すると予想されるテクノロジー
■2045年・NEXT WORLDまでに実現すると予想されるテクノロジー

これを見るだけでも、多彩なプロジェクトが現在、実現あるいは開発中であることが分かる。ちなみに、多くの人に求められているテクノロジーは上方向に、不安を感じるテクノロジーは下方向に配置されている。

あなたはこれらのプロジェクト(テクノロジー)を見て、何を感じるだろうか。期待、ワクワク、不安? どちらにしても、人工知能をはじめとするテクノロジーはこれからもどんどん発展していく。いろいろな懸念もあるが、人工知能は人間が発生させたデータを基に育っていくと考えると、人間の育て方次第で良くも悪くもなるようにも感じるし、人と人工知能では得意なところが違うだろうから、うまい協力の仕方、共存の仕方を探っていきたいものだ。