「グーグルが機械学習プラットフォームCloud Machine Learningと、音声認識APIのCloud Speech APIを公開。開発者はグーグルが長年開発してきた先進の音声認識モデルや対話機能をAPIとして利用可能に」
米グーグルが3月23日（現地時間）、同社のクラウドサービス「Google Cloud Platform」の新サービスとして、機械学習プラットフォーム「Cloud Machine Learning」を発表。そして同日、グーグルの機械学習ベースの音声認識機能をアプリに追加できる音声認識APIの「Google Cloud Speech API」（限定プレビュー版）のリリースも発表した。
Cloud Machine Learningの公開により、Google Cloud Platformを利用する開発者は、グーグルがGoogle NowやGoogleフォトなどのサービスで採用するディープラーニング技術を利用できるようになった。このサービスのベースはグーグルが昨年オープンソースで公開した機械学習ライブラリの「TensorFlow」であり、開発者はTensorFlowを使って高度な機械学習モデルを短時間で展開できる。
Cloud Speech APIは、Googleアプリの音声検索やGoogleキーボードの音声入力などで使われているディープラーニング技術「Automatic Speech Recognition」をアプリで使えるようにするREST APIだ。80言語以上に対応し、少々の騒音にも影響されない高い認識性能を備えている、とのことである。
この音声認識のCloud Speech APIが公開されたことによって、開発者はグーグルが長年開発してきた先進の音声認識モデルや対話機能をAPIとして利用できるようになった。昨年12月に公開された画像分析APIの「Cloud Vision API」などと組み合わせることも可能だ。
次のムービーではCloud Speech APIを使用するとどんなことができるかが紹介されているが、開発者はこれらのサービスを利用することで画像／音声認識と機械学習を応用したアプリを作りやすくなったといえる。開発者にとってはうれしいニュースだ。
ただ、このグーグルの一手が音声認識を提供している会社にとっては大きな打撃となるのかもしれない。次の記事ではニュアンスやアップルへの影響が予想されているが、高性能なグーグルの機械学習ベースの音声認識機能を（現在は）無料で利用できるとなると、確かにグーグルに乗り換えるところも出てくることだろう。業界でのグーグルの存在がまた大きくなりそうだ。
【参考】Google、音声認識APIを公開。Nuanceと直接対決へ（2016.3.24）
また、Cloud Machine Learningは、Google Cloud StorageやGoogle BigQueryなどといったGoogle Cloud Platformの他製品とも密接に統合されており、開発者は自社の訓練データを使って、簡単に予測的分析モデルを構築できるという。
Google Cloud Platformと競合するアマゾンのAWSやマイクロソフトのMicrosoft Azureもそれぞれ機械学習プラットフォームを提供しているが、グーグルの今回のこの公開が競合と差を付ける大きなポイントとなってくるかもしれない。
どちらにしてもグーグルのこの一手が業界全体に影響を与える可能性は大きそうだ。ユーザーとしては、グーグルが持つ機械学習開発環境を開発者が簡単に活用できるようになったということで、業界の活性化や、また新しい発想のアプリが今後登場してくるだろうことを期待して待ちたい。
なお、Cloud Machine Learningを含むGoogle Cloud Platformは、60日間は無料で試用可能。また、Cloud Speech API については、Google Cloud Platformを利用する開発者は以下のページから限定プレビュー版に申し込める。今後どうなるかは分からないが、少なくともプレビュー期間中は無料のようだ。
≫Cloud Speech API Limited Previewページ
【参考】（Google Cloud Platform Japan Blog）GCP NEXT 2016 : 最先端の機械学習サービス Cloud Machine Learning を発表（2016.3.24）
【参考】Google、アプリに音声認識機能を追加できる「Cloud Speech API」を公開（2016.3.24）
【参考】Googleが自社で使っている「クラウド機械学習」を一般に開放、こんなスゴイことが簡単にできる（2016.3.24）
