「フェイスブックが音声認識システム開発の会社を買収、またグーグルがグーグルグラスの個人向け販売中止を発表。そのほか、音声認識に関する最新の話題をピックアップして紹介する」
≫Facebook、音声認識システムのスタートアップを買収(2015/1/7)
フェイスブックが2015年1月5日(米国時間)に、音声認識システムを開発するWit.ai(ウィットアイ)社を買収したよう。Wit.ai社は、開発者向けに「Siri」のような音声認識機能と自然言語処理技術を提供してきたベンチャー企業だ。
ちなみに、筆者は年末に次の記事を読んでいたので、Wit.ai社がフェイスブックに買収されたというこのニュースはなかなか興味深かった。やはり優れた技術を大手が見逃すわけがない。今後もきっとグーグル、アップル、フェイスブックなど大手に技術は集約されていくのだろう。
【参考】Apple Siriに負けるな!ロボットやウエアラブルに頭脳を持たせる技術が登場(2014/12/2)
こちらの記事によると、Wit.aiはサムスンやソフトバンクのロボット「Pepper」でも利用されているよう。
買収後もWit.aiのプラットフォームは引き続きオープンかつ無償で開発者に提供されるようだが、今後の展開が気になるところ。フェイスブックにおいて、Wit.aiはひとまずMessengerの機能強化や広告事業などに使われる模様だが、Wit.aiの技術が今後どのように活用されていくのか、注目だ。
≫業界初、音声認識・音声対話専用の「バッジ型ウェアラブルデバイス」を開発、今夏発売。(2015/1/13)
アドバンスト・メディアが騒音下でも音声認識・音声対話が行えるバッジ型ウェアラブルデバイス「AmiVoice Front WT01」を発表、2015年8月に本体の大量生産と販売を開始する予定とのこと。
本体は長さ10センチ、幅4センチほどの大きさで、胸ポケットにクリップで挟んだりストラップで首から下げたりしてハンズフリー・アイズフリーで使用可能。2マイクを用いた高指向性のマイクアレイとノイズキャンセル機能を搭載しており、工事現場や電車が通過する高架下など高騒音環境下でも問題なく認識できるという。
また、スマートフォン(iOS/Android)上で音声認識アプリケーションを開発するためのSDK(ソフトウエア開発キット)も用意。そのほか、無線機(インカム)の代わりとして利用できるようにするクラウド型のIP通話サービスも開始する予定とのこと。
製造・物流、運送業界、航空会社、リテール業界、医療業界、鉄道会社、警備会社など、幅広い業種・業態での活用が見込まれる。また、発話した内容を翻訳し、その結果を音声ガイダンスで再生するなど、翻訳システムとの連携活用も期待できる。2020年のオリンピックでは「AmiVoice Front WT01」で日本のおもてなしがさらに充実するかもしれない。
≫ロボット特化の広告サービスが登場–「Pepper」発売と同時に開始(2015/1/20)
1月20日、ロボットスタートがロボット向けのマーケティグソリューション「ロボットスタート広告」を発表した。同社によればロボット向けの広告サービスは世界初となり、2月を予定しているヒト型ロボット「Pepper」の発売と同時に正式にサービスを開始予定で、1月20日より広告配信・販売パートナーを募集する、とのこと。
ロボットスタートは、ロボットに関するソフトウェア開発やマーケティング、コンサルティングなどを手がける企業で、2014年12月に設立されたとても若い会社のよう。国内のロボット市場はこれからもどんどん成長すると思われ、現在ネット広告の中でもスマホ向けの広告が急成長しているように、今後はロボット向けの広告市場もその普及とともにどんどん成長していくだろう。目の付け所がよいと思った。
ただ、正直なところ、ロボットでも広告かと個人的には少々うんざり。ロボットアプリ開発者に還元されるのはうれしいが、それ以外に広告はいろいろな思惑が絡んでいる複雑な市場。今でもいろいろと問題が取り上げられているように、広告での誘導や、個人情報の取得(このサービスでは個人情報を取得・通信しないとのことだが)などの懸念もあり、行き過ぎると利用者としてはロボットを信用できなくなりそう。お店のロボットに限るとか、広告が不要なら完全に遮断できるなど、安心できる仕組みも組み込まれることを期待したい。
なお、そのほかにも次のような記事が配信されているので、興味のある方はどうぞ。
≫音声認識を応用した看護・介護用「見守り呼びかけシステム」を開発(2015/1/8)
≫外観シンプル、機能はリッチ MSもスマートウオッチ(2015/1/13)
≫「グーグルグラス」個人向け販売中止 プライバシー議論(2015/1/16)
≫人工知能「2045年問題」 コンピューターは人間超えるか(2015/1/29)
高齢化社会に向けて、今後は看護・介護分野にももっと音声認識技術が普及していくのだろう。また、ウェラブルデバイスはスマートウオッチなど現在も発展中だが、眼鏡端末はやはり厳しい模様。グーグルグラスは個人向けの販売を中止し今後は法人市場の開拓に注力するようだが、いったん立ち止まり戦略を立て直すと発表された。
確かに眼鏡端末は課題が多い。盗撮の可能性もそうだし、視野が狭くなるため、問題の歩きスマホ以上に危険性があるように思う。実用としてはもう少し改善が必要だ。
ちなみに、グーグルグラスについては次の記事も興味深かった。製品を手にする機会が少ない日本では発表したときの期待が今でも残っており、日本だけが盛り上がってしまっている、ということである。これはいろいろな場面でありがちだと感じたが、考え方によっては悪くもない。モノによっては日本の独自性を出せるチャンスとも思えるが、さて眼鏡型端末の未来はどうだろうか。ここで攻めるか引くか、日本の力が試されているように感じる。
【参考】離陸失敗「グーグルグラス」 取り残された日本市場(2015/1/16・登録会員のみ閲覧可能)
グーグルは年内にグーグルグラスの新モデルを発表するとしているようだが、詳細は不明とのこと。