遅ればせながらアマゾンも参入! 音声認識関連のホットなニュースetc. (7)

遅ればせながらアマゾンも参入! 音声認識関連のホットなニュースetc. (7)

「アマゾンも音声アシスタント端末を発表、また今再びスポットライトが当たっている人工知能についてのニュースも簡単に紹介する」

≫アマゾン、家庭用の音声アシスタント端末「Echo」発表(2014/11/8)

アマゾンが家庭用の音声アシスタント端末「Amazon Echo」(以下、Echo)を米国で発売すると現地時間2014年11月6日に発表。Echoは人の声を認識することが可能で、iPhoneなどに搭載される「Siri」のようなアシスタント機能を提供する。

amazon-echo
http://www.amazon.com/oc/echo

端末は直径3.27インチ(8.3cm)、高さ9.25インチ(23.5cm)の円筒形。本体にはスピーカーを2つ、マイクを7つ内蔵し、ディスプレーはなく、命令に対して音声で答えてくれる。価格は199ドル(Prime会員向けには99ドル)。ただし購入には、今はアマゾンからの招待状が必要とのこと。

このような音声アシスタント機能としては、アップルは「Siri」、グーグルは「Google Now」、マイクロソフトは「Cortana」を展開中。こうした音声アシスタントや人工知能ではやや出遅れた感があるアマゾンだが、Echoで巻き返しを図れるか、注目だ。

アマゾン版SiriといえるEchoの特徴は、スマートフォンではなく家電に搭載している点。アマゾンが期待している最終形としては、生活の中でEchoが受け入れられ、Echoを通じてあらゆるモノの販売を独占すること、だろうか? そんな戦略が垣間見える。

ちなみに個人的には、このとってもシンプルな見た目のEchoにどんな評価が下されるのかが気になるところ。「家族の一員として」か「便利なモノとして」か、どちらの位置付けになるかは不明だが、生活の中でユーザーにEchoは受け入れられるのか。

もちろん精度ありきだが、今はロボットでも家電でもどんどん擬人化が進んでいるように思う。EchoはモノがインターネットにつながれたInternet of Things(IoT)の一例であるが、例えば前回紹介した「BOCCO(ボッコ)」の見た目はとても愛らしく、家族の一員としても愛着が湧きそうな感じ。人が話し掛けたり家族の一員として欠かせない存在に位置付けたりするには、擬人化がやっぱり効果的だと感じる。

bocco
無機的なモノよりやっぱり愛着が湧く「BOCCO」。他にも、例えば最近では話すお掃除ロボット「COCOROBO」も期間限定でツンデレ?妹バージョンを発売。Echoがどのように話すのかは不明だが、やっぱり擬人的要素は何かしらあったほうが受け入れられやすい?

http://www.ux-xu.com/product/bocco

あるいは、便利なモノとしてなら、(ちょっと大きめだが)見た目はシンプルなEchoも好印象かもしれない。ただ、やはり無機的な円柱形には、愛着は湧きづらく、しっかり精度を求めてしまいそう。BOCCOだとやっぱり話し掛けやすいし、例えば状況によっては少々反応が鈍くても許容できそうだが、無機的な円柱形であるEchoに対しては、話し掛けても反応が鈍ければ……すぐに厳しい評価が下されそうだ。

音声アシスタント機能を備えているとはいえシンプルな据え置き型スピーカーという見た目のEchoは、個人的にはアマゾンらしいと思ったが、見た目で親しみを感じ受け入れられるという段階では損をしているなと思う。その分コストに反映されるのだろうが、ユーザーに受け入れられるためには、がっつり「便利なモノ」としての期待に応えなければならないだろう。実際その精度によるだろうが、さてその評価はどうなるか。個人的には興味深いところである。

2012年や2013年にはEviやIVONA Softwareといった音声認識に関わる企業をいくつか買収しているアマゾン。当時はアマゾンもスマートフォンに進出か、Evi対Siriなどと話題になっていたが、アマゾンはスマートホーム市場での展開を視野に入れている模様。ただ、スマートホームの市場もアップルやグーグルなどが開発を加速しているところ。Echoがアマゾンにとって参入のステップとなるか、今後の展開に注目したい。

続いてのニュースはこちら。

≫日本IBMとみずほ銀、顧客対応に人工知能共同で開発へ(2014/11/6)

日本IBMとみずほ銀行が人工知能型コンピュータ「Watson」と音声認識技術を組み合わせて、顧客からの問い合わせに自動で回答する世界初のシステムを共同開発する、とのこと。

みずほ銀行は、まず来年初めにコールセンターで電話応対に利用するよう。これが成功すると、どんどんこの分野以外においてもシステムによる自動化の展開が加速していきそうだ。

IBMの人工知能技術「Watson」については、今年7月に米アップルとIBMの提携も発表され、iPhoneに搭載されている「Siri」との連携も注目されているところ。また、ソフトバンクの「Pepper(ペッパー)」との連携も話題になっている。

人工知能については、IBMのほか、グーグル、フェイスブック、マイクロソフト、中国のネット検索大手の百度(バイドゥ)、またアマゾンやヤフーなども含め、大手IT企業がその研究開発に夢中になっている様子。

人工知能は1980年代ごろといった以前のブームから今再びスポットライトが当たっているといえるが、その進化に伴い音声認識もどのように発展していくのか、今後の期待が高まるばかりだ。

なお、人工知能技術の新潮流「ディープラーニング」の原型は日本人が開発したそう。現在、人工知能をめぐる人材獲得競争も激化していそうだが、早期に多くの人材を育成できれば日本にも巻き返しのチャンスはあるはず。日本の巻き返しも期待したい。

【参考】Amazonは“Siri”搭載スピーカー「Echo」を発表、狙いはスマートホーム!?(2014/11/25)

【参考】ロボット一家一台の未来はもうすぐそこかも? これからのロボットの在り方から音声認識技術の未来を考える(2014/10/31)