座談会-これから文字起こしを始める方へ-
インタビューにお答えくださったY.K.さんを交えて座談会を行いました。
インタビュー記事も合わせてご覧ください。
どういう方がテープ起こしに向いているか
リライターA:Y.K.さんは、もともとどういうことに興味をお持ちでしたか。
Y.K.:昔は手芸が趣味でしたね、洋裁とか。今はほとんどやらないですけど。
リライターA:「コツコツ」系の趣味ですね。少し系統が「起こし」に似ていますよね。
Y.K.:そうなんですよ。こつこつと、黙々とやるのがいいなと思いますけど。でも今は、(起こしをやっていますので)ボタン付けももう娘にやらせています。
リライターA:昔から手芸が好きな人っていうのは、こういうお仕事に向いていると思いますか?
Y.K.:向いていると思います。編み物とか、積み重ねていく織物とか。大昔の機織りみたいな仕事じゃないですか。1本の糸から編み上げていく、という感じで。それが苦にならない人は向いていると思いますね。 あとはあきらめない人といいますか。「分かんないから、いいや」ってあきらめの早い方とか、調べないであきらめてしまう方は向かないので、探究心がある人がいいかもしれないですね。ちょっとしつこいくらいの。
リライターA:「知りたい」っていう気持ちの強い人ですよね。
Y.K.:そうそう。ちょっとしつこいくらいの人のほうがいいかもしれない。完璧主義の人は、今度は逆にやり過ぎてしまってつらいかもしれませんね。
リライターA:確かに完璧主義だと、逆にストレスかもしれないですね。割り切りができて、でもすぐあきらめないで、全体で良い原稿に仕立てるバランスが大事ですよね。
これから始める方に
Y.K.:テープ起こしに挑戦しよう、という方は結構いらっしゃるものの、なかなか続かないということも少し耳にしました。「すぐあきらめてしまうようにならないためには」ということですけど、どうですかね。
リライターA:そうですね。向き不向きは当然ありますけれども、まずやってみないと分からないことが多いですよね。
Y.K.:最初は「やっぱり、本当に大変だったな」というのが体感として残りますから。そこで「嫌だな」という気持ちが先に立ってしまうのかもしれませんね。
リライターA:多分、最初のときにみんなが思うのが「労力に見合わないな」だと思います。
Y.K.:それはそうですね。確かに。
リライターA:特に最初は進まないので。「いやいや。これだと時給500円だよ」みたいな世界が最初に出てきてしまう。
Y.K.:そう。確かに私もそういう時代ありました。
リライターA:なので、そこを超えるだけの経験を積んでいくのが厳しいのかもしれないですよね。どの世界でもそうかもしれませんが、すぐにもうかるものはないという。
Y.K.:そうですね、それは言えるかも。そこはもう修行と思うしかないんでしょうね。そこで踏ん張れるか踏ん張れないか、ですよね。
リライターA:結構リライターのみんなは「お金が」というよりは、「この仕事が結構好きで」というところから入っていますので、「コツコツ」が得意な方が残りやすいのですかね。
Y.K.:そうですね。「好きだな、自分に合ってるな」と思ったほうが得で、お金はその次かもしれませんね。ある程度やってみて、見合った金額になるまでは少し時間がかかりますからね。
そういえば私も時給に換算したら400円、500円から始まりましたけど、その時は自分がどっぷり専業主婦だったのに自分の稼ぎでちょっとでもお金がもらえる、ということがうれしかったんですね。そこでただ純粋にそう思っただけだから、続いたのかもしれない。最初から、「1カ月にいくら仕事しなきゃいけないから」というモチベーションで仕事を探してこの仕事を始めていくと、ちょっと厳しいかもしれないですけど。
“実は最初は苦痛でしたね“
リライターA:私はやむにやまれず(笑)、テープ起こしを始めたので、実は最初は苦痛でしたね。でも慣れてきて、だんだん余裕も出てきて内容も把握しながら起こせるようになってくると、面白くなってきたんですよね。
東京反訳:どれくらいの期間やったらその「面白い」ところにいけるのでしょうか。
リライターA:内容の楽しいものは、最初から楽しかったですけど。私は3カ月は苦痛でしたかね。
Y.K.:私はそんなにかからなかったかな。もう最初から結構面白い世界だなと思ったんです。大変でしたけど、1カ月もかからなかったですね。最初の1件は「うわっ、こんなに時間がかかるんだ」と思ったけど、また次のお仕事がもらえたことがうれしくて。そうするともういつの間にか面白いなっていう感じ。その後に報酬があるという感じでしたね。
“達成感の積み重ね“
東京反訳:始めた人が続けられるような、そういう道筋をこちらからも提示してあげられたら、先が見えていいのかもしれませんよね。
リライターA:そうかもしれませんね。初めてやった仕事で「1時間に5分起こせた。それはすごいことです」とか。「トータルで何時間分くらい起こすと、一般的にこのくらいのペースで起こせるようになります」というような情報があると、続けるモチベーションになるかもしれませんね。
Y.K.:そう、そうなんですよ。私は最初は何だったのかな。確か、何かのインタビューだったのかもしれない。だからやりやすかったのから続いたのかもしれませんね。最初から長時間の案件ではなくて、本当に20分、30分の案件から始めるといいですよね。
達成感の積み重ねだと思うんですよ。そんなに苦労し過ぎなくて、出来上がった気持ちの良さというか、快感を重ねていって、気がついたら1時間、2時間もらえるようになったとかですね。最初のほうは20分、30分の案件を、「ああ、やれた」「次も頑張ろう」と思ってもらえればいいですね。
リライターA:そうですね。孤独な仕事で、ある意味正解が分からない仕事ですから。だから続けられるための「見通し」はあると良いかもしれませんね。
東京反訳:なるほど。リライターさんがご不安なく作業できるような「道しるべ」がご提供できるように、検討してまいります。本日はどうもありがとうございました。