文字起こしのお仕事とは
STEP1:文字起こしの仕事
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どんな仕事?
会議や対談、講演会などの録音音声を聴き取り、指定された仕様に従って文字に起こす作業をいいます。作業環境があれば自宅でお仕事ができます。
このお仕事をすると日本語がきれいになり、また起こすにあたって物事を調べるので、語彙・知見が広がります。さまざまな音声を聞くことで幅広い社会的な経験値も上がります。
ただし今はAIの音声認識能力が向上しており、人が起こすことが少なくなっていくことも考えられます。ただ、人間は話し方のくせなどの認識能力、複数人の発話が重なってしまったときの聞き取り能力が相当優秀なため、このお仕事はすぐに無くなることはないだろうとも予想されます。
こちらもご参考になさってください。 座談会-これから文字起こしを始める方へ-
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どんな能力が求められる?
- 実際に文字起こしをしてみましょう
ラジオの音声などを、2分程度録音して文字起こししてみましょう。
普段何気なく聞いている音声が、意外に聞き取れない音があったり、単語の順番の並びがよくよく聞かないと判別できなかったり、という驚きがあると思います。 - 「向き、不向き」診断
2分間起こしてみて、いかがでしたか?「ストレスを感じた」という方は、残念ながら向いていないと思われます。才能がないとか努力不足ということではなく、長い音声を聞いて起こすのは不向きということです。
逆に、「苦にならない」「文章が頭に入って面白い」という方はこの仕事に向いています。次に語彙を増やし、タイピング能力を向上させることを心がけましょう。
国語能力、聴き取り能力、タイピング能力、一般社会常識、一定のパソコンスキルなどが要求され、プロフェッショナリズムが必要な仕事です。聞いた音を一言一句判別、理解して、順番を勝手に脳内で変えず、且つ指定されたルールを適用しつつ超速でアウトプットするというのは非常に難しいことです。しかも長時間同じ作業をする忍耐力も非常に必要です。
- 実際に文字起こしをしてみましょう
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必要なもの
以下のものを準備しましょう。
- セキュリティ対策済みのパソコン
サポート期限切れOSのパソコンは使わないようにしましょう。
さらにセキュリティソフトを適用することが必要です。 - キーボード
手の疲労をなるべく抑えられるよう、ご自身に合ったものをきちんと選ぶことをお勧めします。
キーが重くしっかりしたタイピング感のあるものや、一方非常に軽く打てるものなど様々です。 - イヤホン
ブランドメーカーのイヤホンを準備しましょう。
一般的に2,000円以上するものがよいでしょう。聴き取りやすさに直結します。 - ブロードバンド環境
フレッツ光やWiMAX(ワイマックス)などインターネットに常時接続できる環境のことです。
インターネット経由で大きい音声ファイルがやりとりできる環境が仕事に必要になります。
公衆無線LANなどはセキュリティ上の懸念がありますので、利用は避けましょう。 - 専用ソフト(okoshiyasu2、Express Scribeなど)
- 記者ハンドブック(共同通信社発行)最新版
「あがる」「上がる」「挙がる」「揚がる」などの言葉の使い分けを確認するのに必ず使用する書籍です。
※改訂があった場合は、必ず最新版を購入いたしましょう。
- セキュリティ対策済みのパソコン
STEP2:経験を積むには・仕事を始めるには
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専門講座の受講は必要?
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受講することが望ましいですが、必須ではありません。
まずは以下の書籍に取り組むことをお勧めいたします。- 独学で身につく 文字起こしスキルアップ問題集 著廿里美
- 国語好きを活かして在宅ワーク・副業を始める 文字起こし&テープ起こし即戦力ドリル 著廿里美
- 文字起こし技能テスト 公式テキスト 改訂版 文字起こし技能テスト問題制作部会 (監修), エフスタイル (編集)
また、ご自身のレベルを知るために、文字起こし技能テストを受けてみることもお勧めです。
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専門業者のトライアルに応募しよう
仕事を受注する準備ができたらぜひトライアルに応募してみてください。
東京反訳ワーカートライアル
契約内容を把握しましょう
トライアルを通過したら、契約内容をきちんと確認しましょう。特に大事なことは、秘密保持契約です。預かった情報は決して漏洩することがないように管理して、家族や知人に話したり、ウィルス対策が万全ではないパソコンを利用したりすることは決してしないように心がけましょう。
STEP3:経験者は語る
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注意すること、留意していることは?
- 納期を守ること、聞き直し、読み直しすることは必ず心がけています。納期と品質を守ることで、確実に次の仕事につなげていくことが可能と感じています。
単なる内職ではなくプロフェッショナルとしての仕事ですので、メールのやりとりも含めて一般的な社会常識が必須ですね。
- 納期を守ること、聞き直し、読み直しすることは必ず心がけています。納期と品質を守ることで、確実に次の仕事につなげていくことが可能と感じています。
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ずばり、割に合う仕事なのでしょうか。
そのためには、企業から信頼を得て一定の単価をいただけるまでに、それなりの経験が必要となるかと思います。
もし出張録音や派遣先での起こし作業など、外出して業務を行うことができる方であれば、優遇されると思いますよ。
※#STEP4(更に収入を上げるには)をご参照ください。 -
仕事が無くて困ることはありませんか?
繁忙期と閑散期があるのが実感です。それだけに定期的に業務が見込める派遣起こしや出張録音業務などに登録しておくことがよいでしょう。
※出張録音業務:お客さまの会議や講演会、セミナー会場にて録音後、音声を持ち帰り書き起こします。さまざまな業態の現場に立ち会うことができます。
※派遣起こし:大手企業のオフィスで議事録などの文字起こしを行います。定期的に行われる会議などを起こしますので、派遣または業務請負というかたちでお客さまの職場内で作業を行うこととなります。
外出して作業できる方は文字起こし会社にとって非常にありがたい存在です。出張での作業は、ニーズがあるのに在宅作業に比べて応募される方が少ない仕事です。 -
この仕事で生計を立てている人は実際に居るのでしょうか?
- 私の知るかぎりでは日本国内で少なくとも数百人はいらっしゃると思います。
一般的によく目にする仕事としては、いわゆるクラウドソーシング系のお仕事かと思います。ここでは単価が非常に低い案件があることは事実です。
クラウドソーシング系は最初に経験を積むにはよいと思うのですが、経験をある程度積んでからは専門業者さんに登録して仕事を受けることをお勧めいたします。
- 私の知るかぎりでは日本国内で少なくとも数百人はいらっしゃると思います。
STEP4:さらに収入を上げるには
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1. 体調管理しましょう
- いい仕事をするにも、納期を守るにも、まずはなによりも体調の管理が大事になります。
このお仕事で気をつけなければいけないのは「目」「肩」「腰」です。長時間のデスクワークが基本となりますので、身体のメンテナンスをきちんとして体調管理をしないと、集中力も下がります。長い目で見ると収入にマイナスに作用してしまいますので、詰め込みすぎたりしないよう、仕事の進め方は注意して取り組むようにいたしましょう。(「マラソンを安定したペースで走るがごとく」のスタイルです)
- いい仕事をするにも、納期を守るにも、まずはなによりも体調の管理が大事になります。
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2. 作業量を増やす
ここで「作業量を増やす」というのは、無理をしてスピードアップするということではありません。
ポイントとしては- 意識してタッチタイピングの精度や速度を上げる。
- 単語登録を活用して少ないタッチで入力する。
- 使いやすいキーボードやフットペダル、聞きやすいイヤホンなど機材を整える。
- 経験を積む
ということとなります。
特に「経験」を積むことで、人の話し言葉のくせや詰まって話された言葉の聞き取りのスキルが自然と上がってきます。「聞きながら書き起こす/打ち込む」「フットペダルを併用する」速さも上がってきます。
※フットペダル・・・足元のスイッチで再生/早送り/巻戻しの操作できる装置です。
「聞こえる」「聞きながら打てる」ようになってくると、戻って聞き直す手間や音声を止めておく時間が短くなりますので、自ずと時間当たりの作業量が増えることになります。また、聞き直したときの修正量も少なくなりますので、見直しのスピードも上げることができます。
日々少しでも工夫していくことで、最終的に大きな効果を生むことが可能になります(トヨタ式の「カイゼン」と同じですね!)目安として、1時間で10分以上起こせるようになることを目標としましょう。 -
3. 単価を上げる
前項の「作業量を上げる」というのは、もちろん「品質を下げる」という意味ではありません。品質を保たないと仕事の依頼が無くなってしまいますし、依頼するほうも頼みにくくなってしまいます。
特に最初の作業は時間が掛かり大変です。この大変な中で、きっちりと「納期を守り」、聞き間違え・誤字脱字の少ない「質の良い原稿」を提出することができるだけで、次の仕事に確実につながり、単価アップにつながっていきます。
質が悪い原稿では、文字起こし会社の方での原稿チェックと校正に時間と手間が増えますので、低品質な原稿ばかり納品していると、依頼が少なくなってしまうこともあるからです。
原稿の質を上げるには、新聞などを読み、自身の語彙を増やすことも必要です。自分の知らない言葉は、聞き取れない場合や、正しい漢字をあてることができないからです。
また、業者によっては、原稿のフィードバックをしてくれるところもありますので、復習することでヒアリング能力や、語彙を増やしていくことが可能です。因みに東京反訳では、新人期間中、メールにて原稿のフィードバックを行っていますので、是非活用してください。
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4. パソコンの向こうの人を考える
- パソコンの向こうの人は、誰がいるでしょうか。
ワーカー - 文字起こし会社 - エンドクライアント
というお仕事の構図になっています。
エンドクライアントは、当たり前ですが、必ず何かの目的をもって文字起こしを依頼してきています。
今回の案件は、一字一句を全て正しく書き起こすことが必要なものでしょうか?
それとも、最後に読み物として整文するためのインタビューでしょうか?
はたまた、会議の議事録でしょうか?
大切なことは最後の目的を想定しつつ、指示された仕様に忠実に基づいて文字起こしをすることです。
- 依頼元からくる情報も「最後何に利用されるのか」という情報は掲示がありませんが、ベテランワーカーは「最後どう利用されるのか」を意識して作業を行っています。エンドクライアントの目的を常に意識するようにしてください。
- パソコンの向こうの人は、誰がいるでしょうか。
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5.ズバリ。こういう人には仕事がきます。
「納期を守る」「品質がきちんとしている」方には、誰しも必ずまたお仕事をお願いしたくなります。それに加えて好奇心をもって仕事を楽しんでいる方、エンドクライアントを考えて作業している方は、心情的にもお仕事を頼みやすいと感じています。
また「受けるときには気持ちのよいやり取りをする」「受けられない時には、できる納期や条件などをフィードバックする」という対応ができる方は、次回からのお仕事の依頼も来やすいでしょう。 - ルールを守って作業をすればスキルアップできる「文字起こし」のお仕事に、ぜひチャレンジしてみませんか?