経験者インタビュー

M.K.さま(50代女性、テープ起こしキャリア9年、年収80万円)

「忍耐力が必要だったりある程度の融通を利かせるところなどは、テープ起こしは介護とも関連性があるように思いますね」

■M.K.さま(50代女性、テープ起こしキャリア9年、年収80万円)
広告代理店、プロダクションと出版社で編集業務を行っていたM.K.様が介護離職されたのが1999年。以降20年にわたり親族3人の介護をしながらお仕事に取り組まれています。介護の実態と合わせどのようにライフバランスを取っていらっしゃるか、実体験を含めて貴重なお話をいただきました。
“3人同時に介護が発生する状況となりました”

―M.K.様の介護生活が始まったのはいつからでしょうか。

最初は1999年、もともと心臓病と胃がんがあった養父が脳梗塞を発症したのが介護が始まるきっかけでした。それと同時に養母にアルツハイマーの初期症状、叔母は足をけがして働けなくなり引き取っていた状況があったため、3人同時に介護が発生する状況となりました。このときは本当に大変で、私が介護離職せざるを得ない状況となりました。

-3人とも引き取って介護生活をされたのでしょうか。

私は生活基盤が東京にあり、介護される3人は秋田でしたので、このときは1週間東京、1週間秋田という生活を続けました。その後病状の一進一退で施設やヘルパーさんにお願いしたり、また定期的に行き来する生活となったりしましたが、今は2カ月に1回の定期と急な呼び出しでの訪問のみとなっています。

-まだ3人ともご健在でいらっしゃるのでしょうか。

養父は10年前に脳梗塞を再発して亡くなりました。最近は叔母が繰り返し骨折することが多く、行き来が頻繁になっています。

-非常にお金もかかりますね。

そうですね。被介護者にはある程度国の制度があるのですが、介護をしている人間に対する助成というのはほとんどないのですよね。ですから、介護する人間は収入も必要になってきます。

“どう自分をラクにしていくのか、というのが介護です”

-「介護をしながら働く」というのは、非常に難しそうな印象があります。

被介護者が3人だと働くのは無理、という私の感想です。被介護者2人以下ならできると思います。2人と3人はずいぶん違いますね。
 徘徊(はいかい)がなく、寝たきりの方ならかえって自分の働く時間を取ることが可能です。1時間くらいあれば、ある程度家事や仕事をこなすことが可能ですね。要介護度が低く、体が元気で認知症などで徘徊してしまう方が、一番目が離せず大変かもしれません。病気の介護であればヘルパーさんを入れて、普通に仕事ができると思います。

-今はどのような生活スタイルで仕事をされているのでしょうか。

秋田に介護に行ったら、普段任せていてたまっていることを片付ける手間もありますので仕事をする暇はありませんが、東京にいるときは午前中に家のことを済ませ、午後にテープ起こしやライター業、編集などをやっています。
 半日は仕事ができる余裕を持たせるようにしていますが、これは介護の状況や被介護者の容体にもよりますし、慣れもあると思います。私は介護経験が20年になりましたので、「こうなったら、次はこうなる」という予想がだいたい付くようになり、ある程度のスケジュール立てができるようになりました。

-スケジュールをある程度大きい単位で組み立てていらっしゃるのですね。

私はいつ呼び出しがかかるか分からない状態なので、いつもある程度の余裕を持たせるようにしています。予定をかっちり決めてしまうと身動きが取れなくなってしまいますので。
 四角四面に考えると難しくなりますよね。ある程度ラフに組み立てていかないと、介護と仕事の両立は難しい。行き詰まってしまいますので。

-介護も慣れないと、仕事どころではありませんよね。

介護を抱え込んで間もない頃は「どうしよう」で終わってしまうことも多いと思います。とても仕事をする余裕はないとは思いますが、だいたい1年で慣れますよ。逆に慣れないと、自分がつぶれてしまいますので。
 介護は「その人のために」というイメージがある方が多いと思いますが、結局は「自分のために」なんですよね。自分がつらくならないためにはどうすればよいか、第一前提はそれです。やらなければいけない現実は目の前にあるので、どう自分をラクにしていくのか、というのが介護です。結局希望どおりになろうがなるまいが、どうにかはなるのですから。

-介護には、少し影のある印象を持っていました。

逆です。介護の仕事に携わる人たちは明るいですよ。看護師さんもそうですが、愚痴はどんどん言いますし。自分の中で抱え込んでいるぐらいだったら、いっそ全部吐き出してしまって、それで「適当、適当」とやっていたほうがなんとかなります。

-状況のコントロールが上手になってきて、皆さんそうなるのでしょうかね。

皆さんそうしないと生きていけないからだと思います。介護はもちろん大変だし、怒りがこみ上げるときもありますが、毎日眉間にシワを寄せていたら生きていけないですよ。介護は特に。
 相手は良くなることはないので、取りあえず口角を上げる。笑っていること、です。
でも不思議なことに「笑おう、笑おう」と被介護者にも言っていると、安定するのですね。
養母は人を攻撃するタイプだったので施設に入れるのが怖かったのです。誰かが被害に遭ったらまずいと。なので、それをやらせないためにケアマネさんと相談して、全部「大丈夫、大丈夫」から入って「はい。笑おうね。いいよ、大丈夫だよ」という肯定しかやらないようにして、彼女の心を少しなだめようということをずっとやってきたら、人間が変わりまして。認知症さまさまなのですが、とてもおだやかな人間になりました。
 私は人に恵まれまして、周りの方々が皆さん協力してくださいまして、ここまでやってこられております。

“自由裁量で決められる部分が大きいのが理由でしょうか”

-介護をしながらのお仕事として、なぜテープ起こしを選ばれたのでしょうか。

自由裁量で決められる部分が大きいのが理由でしょうか。私が以前からやっているお仕事の編集業務ですと、相手があるお仕事になる。例えば誰かに取材をかけるにしても、所属している団体の許可を取って、相手方の許可を取ってスケジューリングをして。それだと自由裁量でできるといっても、相手の都合に合わせてスケジュールを組み立て直さないといけないことになるのですが、テープ起こしは「これを文字に起こす」ということが決まった段階で、あとは自分の裁量で進められるのが大きいですよね。
 シフトが決まっていない、自分で決めた時間で仕事ができる。不測の事態があったとしても自分でカバーできるのが、今の状況に合った働き方になっています。

-介護をしながらテープ起こしを行うコツなどはありますか。

私はある程度余裕を持ってスケジュールを組むようにしているのですが、なるべくその余裕に甘えずに前倒しで納品することを心掛けています。これは編集者の性(さが)かもしれませんが、これがコツですね。
 最後に追い詰められたときに介護で問題が起きたりしたら、仕事にはもう手が付かなくなるので。自分がつらくならないためには、前倒しで進めることが大切ですね。

-テープ起こしをお仕事としてやろう、と考えたきっかけがありましたらお教えください。

私は編集のお仕事に携わっていたので、自分で取材して自分でテープを聞きながら原稿化していく、という作業が日常的に当たり前にありました。テープ起こしのようにきっちり起こすわけではないのですが、ある程度同じ感じでできること、昔からなじみのある仕事であるのがきっかけでした。
 忍耐力が必要だったりある程度の融通を利かせるところなどは、テープ起こしは介護とも関連性があるように思いますね。

-テープ起こしで気分転換になる面もあるとお聞きしました。

そうですね。面白いことは「介護でこんな事件が起きた」というその直後に、似たようなケースを語っている看護師さんたちの介護のテープ起こしが来たりするのですよね。「ああ、同じだ」とつながってきたりすることがありますね。
他の世界を知ることができる、というテープ起こしはいいと思います。介護をしているとケアマネさん、ヘルパーさん、被介護者だけの世界の中で「自分は」としか考えなくなり、どうしても視野が狭くなってきてしまうこともありますので。だけど全く違う世界を知り、他の世界とのつながりを音声だけでも持つことができれば、だいぶ客観視できるようになり、視野が変わると思います。

“スタッフさんの顔が見えるのも最高ですね”

-2012年より当社にご登録いただき、お仕事にご対応いただきありがとうございます。東京反訳でお仕事を続けていただけているポイントをお教えください。

私が本格的にテープ起こしを始めたのが2011年、その翌年に東京反訳さんに登録させていただきました。他社のテープ起こし講座を受講した後に数社で経験を積みましたが、1年ほどで東京反訳さんのお仕事に絞りました。リライターの環境やスキルをここまで丁寧にフォローしてくださる会社を私は知りませんし、連絡の速さや緻密さも群を抜いていると思います。

-至らない点も多々あるかと存じますが、ご評価いただき誠にありがとうございます。

契約する会社のフォローアップは大変大切と思います。スタッフさんの顔が見えるのも最高ですね。通常業務だけではなく慰労会などの機会もいただき、その場限りのお付き合いではなく継続したお付き合いができる点をありがたく感じています。

-現在の収入はどのくらいになりますか。

テープ起こしでは年間80万円ぐらいです。日々、合間合間で正味2時間取れそうだったら、テープ起こしの仕事をしています。取れる作業時間が1時間未満だと(効率が悪くなるので)手を付けないですね。

-今後もテープ起こしを続けていかれる予定ですか。

はい。耳が遠くなるまで続けたいと思います。

“介護をしている人間は営業活動をする暇もありませんから、
契約する会社のフォローアップが非常に大切です”

-現在介護をされている方で、テープ起こしに興味を持たれた方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。

被介護者が3人以上の場合は、どんなに制度をフル活用しても仕事をする余裕はないと思います。実際、私も仕事は一切できませんでした。被介護者が2人以下なら可能な方も多いのではないかと思いますので、テープ起こしを始めようかと迷っている方はまず挑戦してみてはいかがでしょうか。
 そして介護をしている人間は営業活動をする暇もありませんから、契約する会社のフォローアップが非常に大切です。東京反訳さんならもろもろの不安も解消できると思いますので、応募してみてはいかがでしょうか。

-温かいコメントを誠にありがとうございます。ぜひ今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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