東京反訳クオリティー推進部の野上です。
今回は、当社に所属しておりますワーカーさまより、
実際に遭遇したネット詐欺(一般的にサポート詐欺と呼ばれる詐欺)を事例にケーススタディをしたいと思います。
掲載にあたり、ご本人さまより、他のワーカーさまに同じ被害に遭わないようにとのご配慮で、
らしんばんの掲載を快諾いただきました。貴重な情報を共有いただき感謝しております。
それでは以下本編となります。どうしたら被害に遭わなかっただろうか、皆さま考えながら読み進めてみてください。
本編掲載後、今回のポイントについてまとめておりますので、参考にしていただければ幸いです。
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【本編:ネット上の詐欺について】
4月●●日、インターネットで「書道 ひらがな」と検索をしました。
幾つかサイトが出てきたので、その中の1つのサイトをクリックして出てきた画面が閉じられなくなりました。
戻るボタンを押しても、×を押しても動きません。
右下に「マイクロソフトサポートセンター」という電話番号が表示されたので、そこに電話をかけてしまいました。
番号は010 1440 ××× ×××です。
出てきた人は外国人でジャック ウイリアムズという名前だと顔写真も見せ、片言ですが、日本語を話します。
リモートで操作しているように見え、CPUが壊れている、ウイルスソフトは無効になっているなどと言われ、修理すると言います。
それにはApple Gift Cardが必要だと言われ、ローソンで買ってくるように指示されました。
1万円のCardを4枚、4万円分必要で、後日現金書留で返金すると言われました。
非常に不信感を抱きましたが、ブラウザが閉じられないというプレッシャーからCardを購入し、中に入っている番号を伝えてしまいました。
その際カメラが起動していて、カメラにそのCardをかざして番号を見せました。
そこで娘に連絡が付き、絶対詐欺だからパソコンを強制終了するように言われ、電源ボタンを長押しして終了させました。Wi-Fiも無効にしました。
携帯に何度も電話がかかってきました。かかってきた番号は+65 6229 ×××です。
その後警察に相談し、Cardの状態の問い合わせをしましたが、すでに使用された後でした。
警察からのアドバイスで、パソコンは初期化するように言われ、実行しました。
相手が私のパソコンに入っていた場合、情報の流出があるのではないかとそこが一番心配でした。
警察の話では、お金を取るのが目的だからデータは大丈夫だろうということでした。
反省点です。
不審な電話は絶対かけてはいけないこと、あわてないこと、誰かに相談すること、マイクロソフトなどとよく知られた名前だからといって安心してはいけないということです。
以上本編
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【それでは、今回の事例でポイントとなる点をおさらいしていきます】
■「書道 ひらがな」と検索をしました。
今回の検索ワードは、比較的年齢層の高い方が検索しそうなワードだと思われます。
このように詐欺業者は、騙したい年齢層を分析して、検索結果を表示させるように広告掲載をしてきます。同様の手口として、フェイスブックで、著名人の写真を利用した投資詐欺広告なども問題となっています。
<ポイント>
・怪しいと思われるサイトはクリックしない。
・もし判断が難しいときには、セキュアール(https://securl.nu/)のような入力したURLの安全性を診断してくれるサービスを利用して、そのサイトが安全かどうか調べてからアクセスする。
■クリックして出てきた画面が閉じられなくなりました。「戻る」ボタンを押しても、「×」を押しても動きません。
画面が閉じられなくなる詐欺手口は多くあります。プログラムで簡単に作成することができます。
このような詐欺サイトは「×」「OK」「更新」「Cancel」「戻る」ボタンなど、どのボタンを押しても画面が閉じないのが特徴です。
これはあたかも本物のように作られた偽物のボタンであるため、画面を閉じることができません。
まず、危険だなと感じたらネットワークを切断(LANケーブルを抜く、または、Wi-Fiを切る)することをおすすめします。
ネットワークを切断すれば、ウイルス感染やデータそれ以上の被害を抑えることができます。また、落ち着いて画面を閉じるための対処を行うことができます。
<対処方法 Windowsの場合>
・「Esc」キーを押すと「×」ボタンが出てくることがあります。こちらを押すことにより閉じることができる場合があります。
・「Ctrl」+「Shift」+「Esc」を同時に押し「タスクマネージャー」を起動させます。
アプリ欄にあるお使いのブラウザ(Google ChromeやMicrosoft Edgeなど)のアイコンを「右クリック」して「タスクの終了」を選択して閉じてください。
・「電源ボタン」長押しで、電源を強制終了させてください。
※機種により電源ボタン長押しでは終了しない場合があります。その場合は、マニュアルを参照してください。
(注意)電源ボタン長押しは最終手段としてください。強制終了をすると、ここまでに保存されていないデータはすべて失われます。
また万が一ランサムウェア(身代金ウイルス)に感染している場合、安易に電源を落とすことにより、パソコンが立ち上がらなくなることもありますので、気を付けてください。
<対処方法 Macの場合>
・「option」+「command」+「esc」を同時に押し、「強制終了」ウィンドウが起動するので、お使いのブラウザ(Google ChromeやSafari)を選択して「強制終了」をクリックすることで停止することができます。
<ポイント>
・怪しいWindowが開いたら焦らず対応。まずはネットワークを切断すること。
・電源を切るのは最終手段。ウイルス感染が疑われる場合は、ネットワーク遮断後、電源を付けたまま、警察や専門家に相談をしてください。
■番号は010 1440 ××× ×××
「010」とは、国際電話をかけるときに使われる識別番号です。
フリーダイヤルの「0120」に似ていますが、最近では詐欺に使われることが非常に多くなっています。
同じく「050」も詐欺に使われることがありますので、注意が必要です。
ちなみに上記番号の場合、アメリカのオハイオ州に電話をかけたことになります。
【010】= 国際電話の識別番号
【1】= 架電先の国番号(1はアメリカ)
【440】= 架電先の市街局番(440はオハイオ州)
「010」や「050」 から始まる番号に電話をかける場合は、本当に正しい番号であるか確認する必要があります。
<ポイント>
・電話をかけさせる ⇒ すべて怪しいと思ってください。
・電話をかけてしまうと、非通知通話でない場合、先方に自分の番号を知らせてしまうことになります。
別の詐欺のターゲットにされる可能性もありますので、可能であれば電話番号を変更することをおすすめします。
■リモートで操作しているように見え
実際にはリモート操作をしていないのに、あたかもリモート操作をしているようにすることは技術的に可能です。
また、電話をしてしまうと、リモートさせるためのソフトをインストールさせることも容易にできます。
おかしいなと思ったらネットワークを切断して、電話を切ってください。
<ポイント>
・どんなときでも、おかしいなと思ったらすぐにネットワークを切断する。
■Apple Gift Cardが必要
「Apple Gift Card」やコンビニで購入できるプリペイドカードを購入させるのは、100%詐欺です。
<ポイント>
・プリペイドカード購入と言われたらすぐに電話を切る。
・相手から番号から電話がかかってきても、取らない。
■後日現金書留で返金すると言われました。
これは、本人の住所を聞き出すための手口です。
今回の事例では、住所を先方に伝えなかったため、これ以上の被害となりませんでしたが、もし伝えていれば更なる詐欺のターゲットになった可能性があります。
<ポイント>
・一度詐欺に合うと二度三度とターゲットにされることがあり危険。
・必要のない個人情報を渡さないように常に意識して行動することを心がける。
■ブラウザが閉じられないというプレッシャー
普段なら、おかしいと気付けることも、大きなプレッシャーがかかると正常な判断ができなくなることがあります。
<ポイント>
・おかしいなと思ったら一呼吸おいて行動。まずはネットワークを遮断する。
■その際カメラが起動していて
Webカメラが自動起動するプログラムかPCがハッキングされた可能性があります。
<ポイント>
・カメラが動いても、ネットワークを切断すれば被害は最小限に抑えられる。
・カメラを利用しないときには、カメラカバーやテープ等を貼っておくことも効果あり。
■パソコンを強制終了するように言われ、電源ボタンを長押しして終了させました。Wi-Fiも無効にしました。
この状況下では、正しい判断だと思われます。
<ポイント>
・強いて言うなら、電源を切る前にネットワークを遮断(Wi-Fiを切る)することを心がける。
■番号は+65 6229 ×××
国番号(65)はシンガポールからの電話番号となります。国際電話である時点で怪しいと疑い、絶対に電話に出ないようにしてください。
<ポイント>
・国際電話は詐欺の可能性が高いため、知らない番号はでない。
■パソコンは初期化するように言われ、実行しました。
今回のように、ハッキングされたかもしれない場合、パソコンを初期化することは必須となります。
<ポイント>
・ウイルス感染の可能性があるため、初期化前のデータを取り出したり、別のPCに移したりすることはしない。
・作業中のデータ等を保存していない場合は、すべて消えてしまうため日頃からバックアップをこまめに行う。
■警察の話では、お金を取るのが目的だからデータは大丈夫
今回の事例は「サポート詐欺」に分類されるため、プリペイドカード(お金)を取ることが目的で間違いないと思われます。
<ポイント>
・もしご本人が、重要なデータを扱っていると知られた場合にはこの限りではない。
・サポート詐欺以外にも多くの詐欺があるため、詐欺対象にならないよう気を配って行動。
■不審な電話は絶対かけてはいけないこと、あわてないこと、誰かに相談すること、マイクロソフトなどとよく知られた名前だからといって安心してはいけないということです。
おっしゃる通りです。このたびは貴重な情報を共有いただきありがとうございました。
■最後に
今回のような詐欺は、頻繁に遭遇する可能性があり、パニック状態では老若男女問わず被害に遭う可能性があります。
もちろん、日頃から注意をして、不信なWebサイトに行かないことが一番大切なことですが、昨今では巧妙な詐欺ページが多く、注意をしていても見抜けないこともあります。
よって日頃から「もしかしたら詐欺かもしれない」「本当に安全なサイトなのだろうか」という心持ちで行動することが大切です。
もし、「何か変だな」と感じたら「ネットワークを遮断する」ということを心がけてください。
ネットワークを遮断すれば、その時点で被害を最小限にすることができ、その後の対処も落ち着いて対応することができますので、ぜひ覚えておいてください。
■参考文献
<消費者庁HP>
偽の警告表示に「Microsoft」のロゴを用いて信用させ、ウイルス駆除等を行うなどと称して多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起
<警察庁HP>
サポート詐欺対策
<IPA独立行政法人情報処理推進機構HP>
偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ
<マイクロソフトHP>
マイクロソフトのサポートを装った詐欺にご注意ください