これまで東京反訳の人物をご紹介してきた動画企画。今回初めてワーカーさまにご登場していただきました。現役ワーカーさまである蒔田良子さん。非常に内容の充実したインタビューとなり、カットするのが惜しいため前後編の2回に分けて掲載いたします。前編はこれまで歩んできたキャリアや、あの著名人とのエピソード、仕事観などさまざまなテーマについてお話ししていただきました。(※本文では敬称あり)

■目次

■国会+設立した日本語学校に半世紀をささげた

Q:まず初めに、ご経歴を簡単に教えてください。

蒔田:物心付いた時から、言葉や文字に対してとても興味がありまして、大学も言語関係に進みました。大学卒業後すぐに、国会関係の仕事を四半世紀いたしまして、次いで外国人のビジネスマンの方に対して日本語を教える学校を立ち上げ、四半世紀勤めまして、それが終わった後に御社でお世話になって9年目になります。

Q:日本語学校でご定年を迎えられたんですか。

蒔田:定年ではないのですが、時機を見て後輩に譲りました。

■文字起こしとの出会いと、突然の不調から得た教訓

Q:9年前、どのようなきっかけで当社とのご縁があったのか教えてください。

蒔田:国会の仕事をしていた時に、こういう仕事があるということを偶然知りまして、これを生涯の夢と決めて、仕事をしながら文字起こしの通信講座を受講したり着々と準備をしていました。ですから日本語学校の仕事が終わった時、迷うことなくこの仕事に進むことに決めました。どこの会社が良いかいろいろと調べていた時に、御社の電話でのご対応が、とにかく温かくて心に響きました。セキュリティーもしっかりしていますし、クオリティーも高くプロフェッショナルだという印象を受けましたので、迷うことなく御社一本に決めて、応募して採用していただきました。それが2015年のことでした。

Q:どれぐらい通信講座で勉強されていたんですか。

蒔田:仕事しながら休日や夜間を利用してでしたから、半年コースを2回分受講したのですが、それぞれ2カ月か3カ月で修了しました。

Q:これまで当社ではどのようなお仕事をされてきましたか。

蒔田:当初は普通の文字起こしですね。ここ数年は校正に携わらせていただいています。ある時は、クライアントさまからの機密性の非常に高い案件を、御社のセキュリティールームで、1カ月近くほぼ朝から晩まで仕事をしたことがあります。田中常務をはじめ田辺社長のご指導の下、セキュリティールームの中にはキーボードを打つ音のみが響いて、非常に緊張感あふれる空間だったことが記憶に残っています。

Q:完成した時には達成感がすごいんでしょうね。

蒔田:そうですね。特殊な感じがしました。1カ月間一言も発することなく、全員がただひたすら打ち続けていました。

Q:長い間、お仕事されてきた中で一番印象に残っていることはなんですか。

蒔田:この仕事を始めたばかりの頃、友人からの紹介で、とある大学教授が長年とりためていた政治関係のテープを段ボール1箱分依頼されまして、朝から晩まで寝る間もなくひたすら打ち込んでいたのですが、突然足が痛くて起き上がることもできなくなってしまいました。病院に担ぎ込まれまして、結局長い間運動しなかったため、ビー玉ぐらいの大きさの乳酸の塊が股関節にできてしまったということでした。薬が効いて1カ月ほどで良くなりましたが、その時につくづく「この仕事は体が大事だ、運動も大事だ」ということを身をもって実感しました。

■チャーミングだったカルロス・ゴーン氏

Q:日本語学校時代に、カルロス・ゴーン氏に日本語を教えたというお話を耳に挟んだのですが。

蒔田:立場上、日本語のレッスンを始める前に学習者の方とレベルチェックの面接をするんですね。日産自動車もクライアントさまの一つでしたので、その関係でカルロス・ゴーンさんと面接をしました。この1メートルぐらいの距離で。

Q:目力がすごそうですね。

蒔田:非常にチャーミングな方でした。「僕は日本語ができるんだよ。漢字書けるんだよ、5つ書ける」とうれしそうに話しておられました。日産の「日」や数字の「二」「三」とか。フランスでは漢字が書けるということが、非常にステータスの高い象徴になるらしく、日本語の漢字は貴重だということでした。

Q:どのぐらいの期間教えられていたんですか。

蒔田:直接担当したのは、最初の面接の時ですね。その後は講師の者が担当しましたが、半年ぐらいでお忙しくなってしまわれて。その後日本語でスピーチをしている姿を拝見したので、少しは入り口になったかなと思っています。

■長年、仕事を続けてこられた秘訣

Q:お仕事をする上で、大切にされている信念はなんですか。

蒔田:御社を通じてクライアントさまからの大切な情報をお預かりしているので、セキュリティーに最大の注意を払って仕事を進めています。

Q:具体的にはどのようなことでしょうか。

蒔田:まず仕事をする部屋を家族からも見えないようにすること。仕事の内容は、家族にも友人にも話をしないこと。パソコン上のセキュリティーはもちろんのこと、そのようなことにも気を付けています。

Q:お仕事をしていてうれしかったこと、大変だったことをそれぞれ教えてください。

蒔田:うれしかったことは、クライアントさまからのお褒めの言葉ですね。丁寧な仕事をしたということでお褒めいただいた時は、何よりもうれしいです。大変だったことは、とにかくいくら努力しても聞き取れない雑音の多い内容や、言葉が重なってしまっている時など、どのようにしても聞こえない時はつらいですね。

Q:そういう時はどのように乗り越えるんですか。

蒔田:とにかく日を改めたり、全体が終わってから2回3回聞き直してみたりすると、ふっと聞こえたりすることもあるんですよね。決して想像では書かないようにしています。

Q:長い間、お仕事を続けてこられた一番の秘訣はなんだと思われますか。

蒔田:とにかくこの仕事が好きだということ、今までの経験が全て生かせる仕事であるということ、社会貢献ができること、御社の役員さまをはじめスタッフの皆さまの、温かくて丁寧な対応が非常にありがたく、誇りを持って仕事できるということです。そして自宅でできるということが一番大きいですね。

Q:お仕事される時間帯はだいたい決められているんですか。

蒔田:受注したらすぐに取りかかると決めています。いったん仕事を始めてしまうと、時間がたつのを忘れて、気が付いたら夜が白んでいたということも(笑)。とにかく好きでやっています。

■プライベートの趣味も充実。バタフライに挑戦中

Q:先ほど、体が大事だとおっしゃっていたことが印象的ですが、健康のために定期的にされていることはありますか。

蒔田:定期健診は全て受けていますが、自分の趣味として水泳やヨガを続けています。ジムに通っていて、今バタフライに挑戦中なんです(笑)。

Q:すごい。

蒔田:全然できていませんけど、自分の楽しみとして。あとは幼い頃からの趣味で、コーラスをずっと続けているんですけど、歌うことによって全てを忘れられてリフレッシュできます。

Q:好きな曲はありますか。

蒔田:バッハやベートーベンなどクラシックのオーケストラ付きの合唱をずっと続けています。

■吉田会長の言葉「100歳まで続けてくださいね」が原動力

Q:お仕事をする日のタイムスケジュールを教えてださい。

蒔田:私は今、子育ても終わって自分のことだけに時間を使える立場ですから、とにかく仕事大優先で。家事はその合間をみながら適当に(笑)。遊びも、仕事がまず優先で空いたところに友人との約束を入れていく感じです。

Q:お仕事もされていて、趣味もあって遊びもあって、毎日お忙しいですね。

蒔田:罪悪感なく遊べると(笑)。

Q:全てがバランスよく回っている感じですね。

蒔田:おかげさまで、この仕事が芯となっていますので。

Q:逆に、仕事を辞めたいと思ったことはありますか。

蒔田:まったく、一度もないです。

Q:それはすごいですね。何か他にお伝えしておきたいことはありますか。

蒔田:吉田会長に初めてお目にかかった時に、ほほ笑みながら「100歳まで続けてくださいね」とおっしゃったんですよ。そのお言葉を心の支えとして、とにかく健康で体が続く限りは仕事を受けたいと思っております。

Q:今後の目標があれば教えてください。

蒔田:結局、健康が大事だということを身をもって実感しましたので、体を気遣いながら続けられる限りは続けられればいいなと思っております。

Q:最後になりますが、たくさんのワーカーさまがご覧になっていると思いますので、メッセージやアドバイスがあれば教えてください。

蒔田:AIの急速な発達によって、これから局面がいろいろと変化することが予想されますが、御社にご指導いただきながら柔軟に対応していきたいと思っています。また、クライアントさまからのニーズに正確にお応えすることが使命だと思っていますので、自分でも努力を続けて誠実に向き合いたいです。世の中の最新の情報に触れられて、とてもやりがいのある仕事ですので、責任と誇りを持って。お若い方々はご自分のライフステージのペースに合わせて続けていかれたら「続けていて良かった」という日がいつか必ず来ると思いますので、皆さま長く続けていただければなと思っております。

Q:本日は貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

<アフタートーク?編>に続く