7.取引会社との関係
東京反訳(野上):東京反訳だけをメインに仕事をしているか、複数の会社で仕事をしているのかで課税を選ぶのか免税を選ぶのか、いろいろ考え方が変わってきますよね。
Aさん:それは会社によって違ってきますね。免税だから仕事を頼まなくなる取引会社も中には出てきそうな気がします。
山岡税理士:免税だから仕事を頼まなくするのは別の法律の問題があります。消費税率が変わったときのように、弱い立場の事業者を保護するということがあるので。
ただ、例えば契約が9月末日で切れますとなったら、それを更新する、しないは業者間の自由ですから、そこまで担保はできないというものではあります。
東京反訳(野上):東京反訳のワーカーさんはほぼ免税事業者だと思うので、免税だからお仕事あげないということはないと思います。ただ、免税事業者だと消費税分はお支払いできなくなると思われます。その消費税分は先ほどのとおり国に納付することになりますね。結果として皆さんの収入は下がってしまいますね。
山岡税理士:そもそも、消費税の免税事業者の制度がなければ、皆さんは開業して1円でも稼いだら、所得税の確定申告と一緒に消費税の申告書もセットで出さなければならない状況だったわけですので、本来あるべき姿になったとも言えます。
 |
免税事業者だから仕事を頼まなくするのは法律的に問題がある |
 |
東京反訳は、免税事業者でもこれまで通り仕事を発注するが消費税は支払えなくなる |
8.東京反訳の今後の方針について
東京反訳(神林):先ほどの「経過措置について」でも触れましたが、2023年10月以降は免税事業者、課税事業者ときっぱり分かれます。免税事業者は経過措置が6年あり最初の3年間は、消費税控除を80%。次の3年間は、消費税控除を50%取っていいことになっています。
東京反訳はその経過措置分をワーカーさんに還元する方向で考えています。
例えば、1,000円の売上げだと消費税込みで今まで1,100円もらっていました。
来年の10月からは本当は1,000円になるのですが、消費税100円のうちの経過措置分※約80円をワーカーさんに還元します。会社さんによってはいきなり1,000円になるところも多いと思われます。
※会計上厳密に計算すると80%にならないことがあるため約と記載しております。
・免税事業者の請求書のイメージ(東京反訳の方針の場合)
最初の3年間 : 請求額 1,080円(消費税相当額の80%分を上乗せして請求)
次の3年間 : 請求額 1,050円(消費税相当額の50%分を上乗せして請求)
更にその後 : 請求額 1,000円(消費税相当額を上乗せできない)
 |
免税事業者に対して東京反訳は、経過措置分を還元する方針 |
9.判断の基準について
Aさん:税理士さん的には課税事業者になることをお薦めするのでしょうか。
山岡税理士:いや、皆さんがそもそも今、帳簿付けをするのか、白色申告で年間集計するのみなのかなど、個々のスタイルがあると思います。時間が使えるのだったら当然青色申告をして、課税事業者になられたらいいと思いますが、皆さんにとって必ずしもそれが正解とは限りません。
Cさん:そうすると何を基準に判断すればいいのか迷いますね。
東京反訳(野上):東京反訳だけで仕事をしている方はどちらでもいいと思いますが、別の会社さんだと課税事業者になってほしいと言ってくるところもあるかもしれませんね。他の会社さんのこともトータルで考えれば課税にしておいたほうが安全といえば安全ですね。
Bさん:もし、課税事業者になったら、月々何かしら気にかけなければいけなくなりますね。もう20%、50%なり丸々100%なりいずれにせよ消費税を納めなくてはいけないことは理解しましたが、結局何が一番面倒くさくないんでしょうか。
山岡税理士:月々処理をするのが面倒くさいか、年に一回処理をするのが面倒くさいか、それは人それぞれですね。課税事業者になるのであれば、税理士としては月々処理をやったほうがいいと言わせていただきます。
Bさん:では、実際に課税事業者になったとして、消費税の申告はいつ行うのですか。
山岡税理士:消費税の申告書を提出するのは確定申告と同じタイミングになります。
Bさん:なるほど、実際に課税事業者の手間は確定申告のときに頭を悩ませる項目が1シート増えますということですね。
山岡税理士:おっしゃるとおりです。
 |
課税事業者になるか免税事業者のままかは結局本人次第 |
 |
課税事業者になるのであれば、月々こまめに帳簿処理をするべき |
 |
消費税の申告タイミングは、確定申告と同じタイミング |